小さな会社の年末調整:年調アプリは大変便利


※令和6年分 所得税の定額減税の仕方

定額減税3万円:
  1. 本人(令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である人)
  2. 同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に限る(「同一生計配偶者等」))
-6月分給与・賞与の源泉徴収から順次控除

-所得税徴収高計算書「摘要」→記載不要
-賃金台帳・源泉徴収簿→減税後の金額(月額)

-源泉徴収簿(年額)→余白に「控除済額」「年調所得税額(定額減税後)」「控除外額(控除しきれない金額))」

☆源泉徴収票「摘要」
→「源泉徴収時所得税減税控除済額xxx円、控除外額xxx円」と記載

国税庁「定額減税特設サイト」
国税庁「令和6年分所得税の定額減税のしかた」(PDF)
国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A」(PDF)

年末業務の大まかな流れ

年末年始の大まかな業務の流れは下記の通りです:
  1. 賃金台帳→無料公開エクセル等を利用
  2. 年末調整→年調アプリ🚩
  3. 源泉徴収簿→無料公開アプリ(エクセル)等を利用
  4. 給与支払報告書・合計表・法定調書(源泉徴収票)→eLTAXで一括作成・提出
以下では年調アプリのやり方を説明しています。従業員がアプリで作成して会社に提出します。

年末調整の控除申告書は基本3つです(各種申告書・記載例):
  1. 扶養控除等申告書
  2. 保険料控除申告書
  3. 基礎控除申告書(令和2年度分から開始)
※住宅借入金等特別控除申告書:住宅ローン控除を利用する場合(1年目は確定申告、2年目以降は年末調整)

結論から言えば年調アプリを利用しなくてもパソコン作成すればさほど手間はかかりません(PDF入力はInternet Explorer11で入力)。

年調アプリだと控除申告書が一括作成ができて大変便利です(控除額を自動計算)。従業員は翌年度以降も基本情報を引き継ぐことができ入力が省略できます。

会社は電子データのやり取りで管理が楽になります。年末調整の業務がペイパーレス化できます(控除証明書のチェックが不要)。

尚、年末調整手続き電子化の税務署の申請は不要となりました(令和3年度の税制改正)。



関連記事:
「給与支払報告書と法定調書:eLTAXで一括提出」
「電子帳簿保存法の改正:小さな会社の対応方法」

年調アプリ(国税庁)の利用手続き(初年度)

(1)ダウンロード

年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)は国税庁が提供するアプリです。従業員が年末調整申告書を簡便に作成し勤務先に電子データか書面で提出できます。

年調アプリには4つのタイプがあります:
  1. パソコン/Windows→Microsoft Storeで「年末調整 国税庁」と検索
  2. パソコン/Macintosh→Appstoreで「年末調整 国税庁」と検索
  3. スマホ/Android端末→GooglePlayで「年末調整 国税庁」と検索
  4. スマホ/iPhone→Appstoreで「年末調整 国税庁」と検索
パソコン/Windows版のMicrosoft Storeは馴染みがないかもしれません。普通に「年調アプリ マイクロソフト」でGoogle検索しても出てきます。

下記からもダウンロードできます:
⇒「令和3年分 年末調整に係る控除申告書作成アプリ

サインアップは不要です。アプリは無料で入手できます。

(2)アプリ入力

  1. スタートボタンをクリック→「最近追加されたもの」の一番上の年末調整アプリをクリック(尚、右クリックすると「スタートにピン留め」や「タスクバーにピン留め」ができて便利)
  2. 控除申告書を作成する方はこちら→新しく年末調整の書類を作成する「新規作成」
  3. 入力は「質問に答えて受けられる可能性がある控除を確認」「控除申告書を選んで作成」「申告書データを利用して作成」の中から進めます(初回は「質問に答えて」か「控除申告書を選んで」からがわかりやすいです)
年末調整の控除申告書は基本3つです:
  1. 扶養控除等申告書(翌年度分🚩)
  2. 保険料控除申告書(本年度分)
  3. 基礎控除申告書(本年度分)
※住宅借入金等特別控除申告書:住宅ローン控除を利用する場合(1年目は確定申告、2年目以降は年末調整)

(3)入力のポイント

  • ID番号は控除申告書に印刷されるので名前のアルファベットくらいにしておいた方が無難
  • 会社から指示があればIDに「職員番号」などを入力
保険料や住宅ローンはデータをマイナポータルや契約企業からもインポートできます。

少ない場合は入力した方が早いです:
  • 保険料控除申告書の受取人欄には「死亡受取人」か「給付受取人」のどちらを記入すればよいか?
  • 「一般/介護医療の生命保険料」は死亡保険金の受取人、死亡保障のない保険は給付金の受取人を記入
入力が終わると電子データ(XMLファイル)と書面(PDFファイル)で出力できます。書面(PDF)の方が控除申告書になります(申告書の形式が以前と全く異なります)。

内容を確認して何度でも修正ができます。チェックが済めば会社にPDFファイルを送信して終了です。

電子データ(XMLファイル)も必要に応じて会社に提出できます。給与システムにインポートできます。

(4)入力修正や申告書の追加/削除

入力の修正は「詳細を確認する」から修正ができます。申告書の追加や削除もできます。

扶養控除申告書を翌年度分ではなく本年度で作成してしまった場合などです。

一見すると追加や削除がないですが基礎控除申告書の「修正」から入り訂正できます。

入力していくと作成する申告書を選択する画面が再び出てきます。正しく選択して再度控除申告書類を作成して印刷します。

年調アプリの利用マニュアル(次年度以降)🚩

前年度のデータを繰り越すことができ大変便利です。入力項目は変更なければ所得金額(給与所得と給与所得以外)だけになります。

[アプリ入力の流れ]
  1. PCスタートボタンからアプリ起動(→前年度データ繰越利用)
  2. 「前年度分のソフトデータを移行して作成する方はこちら」(前年データ利用)または「控除申告書を作成する方はこちら」(新規の場合)をクリック(→「あなたひとりで使用する」)
  3. 「新規作成」→「控除申告書を選んで作成」→所得金額を入力(所得金額以外は前年データを引継ぎ)→次へ→給与支払者情報インポート:「インポートしない」→次へ
  4. 給与支払者情報の入力(前年データ利用)→入力完了→次のステップに進む
  5. 電子データのインポート:「インポートしない」
  6. 作成する控除申告書を選択:「基礎控除申告書」「保険料控除申告書」「扶養控除等(異動)申告書(翌年度分🚩)」→確定
  7. 扶養親族の情報の入力:「しない」→「保存して次の申告書作成に進む」(扶養控除等)→「保存して次の申告書作成に進む」(基礎控除額)
  8. 保険料控除申告書:「+生命保険料情報を追加する」→「証明書の電子データをインポートする」*→「利用する電子データを選択」→次へ→(受取人エラー)→「修正」クリック→入力(受取人入力)→入力完了→「保存して次の申告書作成に進む」(保険料控除申告書①)→「保存して次の申告書作成に進む」(保険料控除申告書②)
  9. 内容確認→確定
  10. 出力形式の選択:「書面印刷」→「次のステップに進む」→「書面印刷する」→インポート用の電子データ作成「いいえ」→印刷(PDFを保存)
*「インポートしない」場合は手入力(前年の年末調整PDFファイルを参照)

追記:基礎控除申告書で副業がばれる?

基礎控除申告書では「給与収入」と「給与所得以外の所得金」の記入が必要になります。

サラリーマンの人は副業がばれるのではと心配になる項目です(金額のみ見込み額を記入)。

給与以外の所得は副業に当たらないものもあります(FX収入など雑収入)。基礎控除額の判定に必要な項目ですので漏れなく計上しましょう。

一般に会社の経理は事務的に進めます。給与所得以外の収入は別途確定申告の要否の判断が各自で必要です。

関連記事:
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「GOOGLE ADSENSEとAMAZONアソシエイトの注意点」

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