小さな会社の確定申告書の作り方:e-TaxとeLTAX
e-Tax(税務署)
法人の確定申告書(税務署)は「e-Tax(ソフト)」から作成します、PCにダウンロードするタイプです(WEB版ではありません)。必要な「申告書」「別表」「勘定科目明細書」が完備されています、「所得税申告」から必要な別表などを選択する仕組みになっています。「別表」や「勘定科目明細書」の作成だけに活用して印刷することも可能です。手書き申請の合理化にも大変便利です(利用料無料)。尚、久しぶりの利用にはソフトのバージョンアップが求められかなり時間がかかります(未実行はエラーのもとです)。
(1)e-Tax(ソフト)申告書作成の手順
- ソフト起動→「作成」→「申告・申請等」→「新規作成」
- 申告、税目→「法人税・地方法人税」、年分→「令和[6]年4月1日以後終了事業年度分」→「次へ」
- 必要な別表・付表等を選択
- [例]「内国法人の確定申告(青色)」「+」で展開:①「別表等」他→「+」で展開して選択(下記2参照)、②「勘定科目内訳明細書」→「+」で展開して選択(下記3参照)→「次へ」
- 申告・申請等名「令和[6]年分確定申告」を入力→「OK」
- 提出日・事業年度・事業内容・資本金を入力→「OK」
尚、別表の追加や削除は申告書作成開始後でも可能です。作成再開は「作成」→「申告・申請等」→申告・申請等一覧から選択(上部の「更新日時」をクリックで降順⇔昇順)
(2)必要な別表
- 申告書:別表1と別表1次葉(赤字の場合は次葉不要🚩)
- 別表4:所得金額の計算
- 別表5(2):租税公課の納付状況
- 別表6(1):所得税額の控除
- 別表7(1):欠損金の損金算入等に関する明細書(赤字・繰越損失/青色欠損がある場合🚩)
- 適用額明細書(赤字の場合は不要🚩)
- 財務諸表(XBRL2.1)(下記4参照)
- 法人事業概況説明書
※上記をベースに必要に応じ別表等を追加
関連記事:
「外国税の会計処理方式(受取配当金) 」
(3)必要な付表(内訳書)
- 預貯金等
- 仮払金(前渡金)・貸付金及び受取利息
- 売掛金(未収入金)→中間納付の還付金(未収還付法人税等)
- 有価証券
- 借入金及び支払利子
- 役員給与等
- 雑益・雑損失等
(4)財務諸表(XBRL)
決算書は会計ソフトからe-Taxに「データ出力」するか「手入力」します。- 帳票一覧から「財務諸表(XBRL2.1)」を選択
- 組み込み(A)→該当ファイル/データを選択(→開く)
- 必要に応じて科目修正
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 製造原価報告書→該当なしなら右クリックで「帳票削除」
- 株主資本等変動計算書
会計ソフトからデータ出力した場合は上記の財務諸表(XBRL)と実際の決算書(会計ソフト)と突合して確認します。必要に応じて「科目名の修正」と「金額修正(合計額など)」を行います(→「帳票編集」)
(5)署名・送信
申告書の作成が完了したら社長のマイナンバーカードで署名して送信します。添付情報を合わせて送信する場合は署名後に「紐付け」してから主申請を送信します。🚩署名にはカードリーダーが必要です(3千円程度)。
尚、送信の際にログインが求められます。マイナンバーカードではなく「利用者識別番号」でログインしないと送信できません。🚩
間違えてマイナンバーカードでログインした場合は一旦ログアウトする必要があります。マイナンバーカードは社長個人のものだからと思われます。
(6)納付:ダイレクト納付やクレジットカード納付
納付は電子納税が利用できます、即時か指定日を決めて口座振替が行えます(手数料無料)。事前に届け出(税務署に郵送)が必要です。ダイレクト納付はメッセージボックスから行います。申告書を送信すると「納付情報登録依頼」が届いています。クリックして「即時支払」か「日付指定」をして口座振替の手続きをします。日付指定の場合は朝一番で口座から引き落としされます。残高不足の場合は入金しても再引き落としがされません。再度手続きが必要なので注意が必要です(→追記ご参照)。
尚、資金繰りが厳しい場合は社長等個人名義のペイ(手数料なし/30万円まで)やクレジットカード(手数料0.8%程度)を利用して納付することもできます。納付期日が翌月カード支払い日まで延ばせます。ポイントももらえます。🚩
関連記事:
「キャッシュレス納付の注意点(ペイやカード)」
「小さな会社の決算業務(e-TaxとeLTAX)」
eLTAX(地方自治体)
地方税(県と市)はeLTAXで申請します。地方税は申請書が各1枚なので簡単です、基本は国税の「別表1の地方税版(県:第6号様式,市:第20号様式)」だけです。尚、久しぶりの利用にはソフトのバージョンアップが求められかなり時間がかかります(未実行はエラーのもとです)。(1)プレ申告データがある場合(県など)
プレ申告データは12/10頃(12月決算の場合)にメッセージボックスに届きます。データを活用して申告書が簡単に作成できます:
- eLTAX:メッセージ照会→本人
- 「プレ申告データに関するお知らせ」クリック→「作成(右下)🚩」→ダウンロードを行います「OK」→利用者情報取得「OK」
- 作成方法選択:「手入力による作成」をチェック(事業年度は入力済)(→次へ)
- 様式選択(下に付表一覧):提出に必要な付表をチェック(欠損金の繰越*や外国税控除等)(→次へ)(→申告データに転記「はい」)(→次へ)
- 申告データの準備終了・申告データ編集(→はい)
- 申告書作成(別表も入力)(→次へ)(保存後でも「戻る」で終わるとデータが保存されない🚩「次へ」→署名「いいえ」で終える)
申告書の編集再開は「申告データの照会・編集」からできます。「照会・編集」から上部のタブを「通常編集」をクリックすると入力できるようになります。別表の「追加」や「削除」は申告書作成の開始後でも可能です。
[入力の注意事項]
- 申告日付は左上(申告の基礎の日付は入力しない)🚩「年号」も忘れずに入力
- 事業種目→入力🚩
- 非中小法人→チェック入れない!🚩
- 右上「X」は全終了!
プレ申告データを活用すると中間納税額などがすでに入力されています。ミスも少なくなり大変便利です。県レベルでは導入されてますが市町村ではまだ導入していない自治体も多いです。未導入の場合は中間納税額を「既に納付の確定した当期分の税額(税目毎)」に手入力します。
※e-Taxの地方税申告共通項目エクスポートの利用:
申請書等が作成完了状態であることが必要(事前作成には向いていない)
(2)申請の仕方:手入力
- 「申告に関する手続き」→「申告データの作成」(→次へ)(利用者情報確認→次へ)
- 科目選択:県→「法人都道府県民税・事業税」・市→「法人市町村民税」を選択
- 「確定申告」にチェック(→次へ)
- 作成方法選択:「手入力による作成」をチェック、事業年度を入力(事業内容と種別は入力不要)(→次へ)(法人情報登録・変更→次へ)
- 申告様式選択:「決定」をクリック(下に付表一覧が現れる)→提出に必要な付表をチェック(外国税控除等の特殊な取引がなければ基本「なし」、「中間・確定申告書」はデフォルトで選択済)(→次へ)
- 提出先をチェック(→次へ)→「既存のファイルに上書きする」(→保存)(次の作成画面でも保存が必要)(→次へ)
- 申告データの準備終了・申告データ編集(→はい)
- 申告書作成(→次へ)(保存後でも「戻る」で終わるとデータが保存されない🚩「次へ」→署名「いいえ」で終える)
※手入力の場合は中間納税額の入力忘れに注意が必要、「既に納付の確定した当期分の法人税割額/均等割額」に各税目ごとに入力🚩
申告書の編集再開は「申告データの照会・編集」からできます。「照会・編集」から上部のタブを「通常編集」をクリックすると入力できるようになります。
尚、入力画面で「全面表示」を解除すると隠れている下のタブに届くようになります。
(3)署名・送信
申告書の作成が完了したら社長のマイナンバーカードで署名して送信します。署名にはカードリーダーが必要です(3千円程度)。申告書の作成画面から「次へ」で一括署名(県と市)ができます。🚩
署名が完了すると一括送付が可能です。🚩
[納付情報発行依頼]
[納付手続き(ダイレクト納付他)]
(4)納付
納付はeLTAXの場合「納付情報発行依頼」と「納付手続き」の2段階になります。[納付情報発行依頼]
- 納税に関する手続き→「電子申告連動」🚩
- 検索条件入力(税目区分「法人都道府県民税」または「法人市町村民税」、申告区分「確定」、事業年度・期別等「対象年度」、発行依頼状況「全て」)→「検索」→対象申告を選択→次へ
- 納付・納入金額入力(明細)→対象申告を選択(→必要に応じ「明細修正」*)→次へ→次へ→発行依頼→「はい」
*還付でマイナス表示の場合は「ゼロ入力」して納付額を修正
納付はダイレクト納付(口座振替)が利用できます。事前に「金融機関」に書類提出の手続きが必要です(金融機関に郵送)。
- 納税に関する手続き→「納付情報の確認・納付」🚩
- 対象申告を選択(納付可のもの)→次へ→次へ→「ダイレクト方式」または「クレジットカード」等を選択*→納付日を選択**→次へ→次へ(確定)
*資金繰りが厳しい場合は個人の「クレジットカード」を選択して納付することも可能(手数料:0.8~1%程度)、納付期日が翌月カード支払い日まで延ばせます(ポイントももらえます)🚩
**「期日指定」の場合は前日まで変更可能(取消や再設定):「期日指定キャンセル」→日付再設定またはクレジットカード払い等🚩
関連記事:
「キャッシュレス納付の注意点(ペイやカード)」
まとめ:確定申告の合理化に
e-TaxやeLTAXの確定申告は初回はちょっと大変です。初期投資をすれば次回からは決算事務の合理化ができます。e-TaxやeLTAXは無料の決算申告ソフトと思うとお得です。時間がある時に既に終わった申告書を元に作成の練習もできます(作成後破棄)。e-TaxやeLTAXで予行演習することで来期に向けて自信になります。毎年ステップアップして行けば良いのではないでしょうか。作成だけ利用してプリントアウトで郵送することもできます(推奨しませんが)。
尚、マイナンバーカードがあると確定申告がネットで完結できます。社長のマイナンバーカード(発行無料)が会社の本人確認に利用できます。
カード読み込みにはカードリーダーが必要です(3千円程度)。
スマホ利用の場合はマイナンバーカードの読み取り可能な機種が必要になります⇒マイナンバーカード読取対応のスマートフォンの一覧
関連記事:
「フリーウェイ経理LITE:決算書の作り方」
「小さな会社の決算業務(税務事項備忘録)」
追記1:送信エラー後の確定申告の再送付
(1)e-Tax
e-Taxでは送信エラー後に書類を再送付することができません。マイナンバーカードの認証エラーなどのケースです。再送付には工夫が必要です(再作成の必要はありません)。
別名のファイルを作成することで再送付が可能になります:
- 送付済の帳票類の1つ開き何もせず「保存」→送付済の書類は修正不可(→別名ファイル作成を促される)→別ファイル作成
- 全てそろった別ファイルができる→作成完了
- 署名をして再送付
(2)eLTAX
eLTAXでは送信後(エラー)に書類を再送付することができません。マイナンバーカードの認証エラーなどのケースです。再送付には工夫が必要です(再作成の必要はありません)。
データを取り出すことで再送付が可能になります:
- 申告データ一覧から該当の申告書を選択→取り出し→PCデータ保存
- 取り込み→PCデータ選択→上書き保存
- 再送付
関連記事:
「社長のマイナンバーカード更新:E-TAXとELTAXの注意事項」
追記2:ダイレクト納付(残高不足エラー)の再手続き
(1)e-Tax
電子納税は指定日を決めて口座振替が行えます(手数料無料)。残高不足で引落しができなかった場合は再度ダイレクト納付の手続きが必要です。ダイレクト納付(日付指定)は朝一番に引き落としがあります。口座引落しが完了するとお知らせメールが来ます。
残高不足で引き落とし不可の場合もお知らせメールが来ます。残高不足の場合は当日入金だけでは再引き落としはされません(再手続要)。
[ダイレクト納付(再手続)の仕方]
- メッセージボックス
- 過去(申告書送付時)にした「納付情報登録依頼」のメッセージをクリック
- 「ダイレクト納付」をクリック(→「今すぐ納付を行う」)
(2)eLTAX
eLTAXも残高不足で引落しができなかった場合は再度ダイレクト納付の手続きが必要です。当日入金だけでは再引き落としはされません。ダイレクト納付(日付指定)は朝一番に引き落としがあります。口座引落し完了や残高不足のお知らせメールが来ます。
[ダイレクト納付(再手続)の仕方]
- 納税に関する手続き
- 納付情報の確認・納付
- 納付情報一覧から納付先を選択
- ダイレクト方式→支払口座選択→今すぐ納付を行う
追記3:e-Taxで追加書類(PDFファイル)の提出
申告書提出後に税務署から追加書類の提出が求められることがあります。不備があり修正して再提出を求められることはよくあります。確定申告書類一式はe-Taxソフトで送付している場合が多いでしょう。追加書類は郵送で送って下さいと税務署から言われることが多いです。
e-Taxソフトでは追加書類の送付方法は紐付けなどを求められうまくできません。
e-Taxソフト(WEB版)だとPDFファイルが送付できます:
- e-Taxソフト(WEB版)にログイン
- 送信結果・お知らせ→メッセージボックス一覧
- 内国法人の確定申告をクリック→添付書類(PDF)の送信
- 選択→決定→決定→「はい」
- 追加→参照からPDFをパソコンからアップロード→決定→添付→決定