小さな会社の決算業務(e-TaxとeLTAX)


年末と決算業務の大まかな流れ

年間の年末業務と決算業務は下記の通りです:
  1. 役所から年末書類が届く→提出の要否を判断→郵送かネットで提出(提出期限厳守)
  2. 確定申告の書類:決算月が過ぎると役所から申告書類か通知が届く
  3. 決算書の作成と納税申告
決算業務から納税申告までの大まかな流れは下記の通りです:
  1. 収入・領収書のチェック
  2. 仕訳チェック
  3. 決算書作成
  4. 申告書と付表等を作成/国税(e-Tax)
  5. 申告書作成/地方税(eLTAX)
  6. 電子納税(口座振替)
以下では確定申告(e-Tax/税務署とeLTAX/県と市)のやり方を説明しています。納税申告をDIYでする社長に参考にして頂ければ幸甚です。

尚、経費で迷うものは該当しないと考える方が妥当です。

関連記事:
「小さな会社の年末調整:年調アプリは大変便利」
「給与支払報告書と法定調書:eLTAXで一括提出」
「源泉所得税:所得税徴収高計算書の提出はe-Tax(WEB版)」

確定申告(税務署):e-Tax

(1)マイナンバーカードとカードリーダー

税務署への確定申告には国税庁e-Tax(電子申告)の利用が便利です(手数料無料)。申告書や別表・勘定科目明細書なども作成できPDF保存もできます。

e-Taxを利用するには「利用者識別番号(半角16桁の番号)」が必要です:
  1. 一番簡単な方法は「WEBから取得」する方法です
  2. 開始届出書(法人用)新規」から必要項目を入力します
マイナンバーカード利用や税務署で直接発行することもできます→「e-Tax:ご利用の流れ

e-Taxソフトの利用は無料で利用できる決算・申告ソフトと思うとお得です。社長のマイナンバーカード(発行無料)が会社の本人確認に利用できます。

マイナンバーカードがあると確定申告がネットで完結できます。

カード読み込みにはカードリーダーが必要です。カードリーダーは3千円程度です。

スマホ利用の場合はマイナンバーカードの読み取り可能な機種が必要になります→マイナンバーカード読取対応のスマートフォンの一覧

電子送付ではなく印刷して郵送することもできます(マイナンバーカード不要)。e-Taxの利用は大幅な事務削減につながるのでおすすめです。

関連記事:
「社長のマイナンバーカード更新:E-TAXとELTAXの注意事項」

(2)申告書作成

e-Tax(ソフト)には必要な「申告書」「別表」「勘定科目明細書」が準備されています。所得税申告から必要な別表などを選択する仕組みになっています。

「別表」や「勘定科目明細書」の作成だけに利用して印刷することもできます。手書きの人は大変便利になります。

決算書は会計ソフトからe-Taxに「データ出力」するか「手入力」します。

決算書だけ別途郵送することもできます。e-Taxでは決算書(PDFファイル)を送信することは残念ながら認められていません。

(3)e-Taxで電子納税

e-Tax送付により電子納税が可能になります:
  1. ダイレクト納付(口座振替/事前登録要)
  2. インターネットバンキング(Pay-easy:社長ネット口座からも振替可能)
  3. ATM(Pay-easy:現金も可)
ダイレクト納付(口座振替)の利用は事前に税務署へ書面の提出が必要です→「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」

[注意事項]
  • 上記届出書の入力は「Internet Explorer 11」でしかうまく入力できません
  • ブラウザが「Google Chrome」や「Microsoft Edge」では駄目です
  • 国税庁HPには「手書き用」もあります
電子納税は指定日を決めて口座振替が行えます(手数料は無料です)。残高不足で引落しができなかった場合は再度ダイレクト納付の手続きが必要です。

尚、Pay-easy(ペイジー)による電子納税も可能です(ATMや社長等のネットバンキング)。

確定申告(地方自治体):eLTAX

(1)eLTAX概要

地方税の確定申告(県と市)にはeLTAX(地方税ポータルシステム)を利用します。e-Taxと同様にマイナンバーカードとカードリーダーが必要になります。

必要な「申告書」と必要に応じて「別表」が準備されています。県と市を別々に準備してネットで送付します(印刷郵送も可)。

特殊な取引がなければ県と市に申告書を送付するだけです。e-Tax(税務署)と比べると提出書類はかなり少ないです。

eLTAXは届け出をすれば無料で利用できます。納税は全国自治体にPay-easy(ペイジー)や口座振替(ダイレクト納付)で電子納税可能です。

(2)利用開始届(新規)

利用開始の流れは下記の通りになります:
  1. 「利用届出(新規)」を提出(サイト左下)→「ID取得」
  2. 新システムをダウンロード→利用開始
eLTAXは全面表示(最大化)だと下の「次へ」「戻る」などが隠れてしまいます。右上の全面表示を解除すると最下段も表示されるようになります。

(3)システムのダウンロード

システムは3つあります:
  • 「PCdesk(WEB版)」:e-Tax(WEB版)と同じで限定した手続きのサービス
  • 「PCdesk(DL版)」:旧来システムの進化系(これをダウンロード)
  • 「PCdesk(SP版)」:スマホ版
ちょっとわかりにくいですがDL版をダウンロードするためにWEB版からログインします。「LTN Setup.exe」をクリックするとインストールが始まります。

関連記事:
「ELTAX(地方税ポータルシステム)がバージョンアップで大変便利に」

追記:電子納税が可能な金融機関一覧

国税や地方税の支払いは電子納税(口座振替やペイジー)が便利です。

ただし一部のネット銀行では口座振替やペイジーが利用できない場合があります。口座を開設する際には注意が必要です。

電子納税が可能な金融機関一覧については下記をご参照ください:
  1. 国税(e-Tax)で利用可能な金融機関⇒国税庁「ダイレクト納付が利用可能な金融機関一覧」
  2. 地方税(eLTAX)で利用可能な金融機関⇒利用可能な金融機関
  3. ペイジーで利用可能な金融機関⇒Pay-easy「ペイジーが使える金融機関一覧」


関連記事:
「小さな会社の確定申告書の作り方:E-TAXとELTAX」
「法人税と地方税:中間申告と中間納付」

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