ベランダにアゲハ蝶を呼ぼう!
アゲハ蝶:幼虫は柑橘類の葉を食べる
(1)卵をから幼虫・蛹(さなぎ)に
アゲハ蝶の幼虫は柑橘系の葉を食べます。ベランダで育てると卵を産みにやって来ます(4月~10月)。マンションの10階くらいなら楽にやって来ます。昆虫の嗅覚おそるべしです。みかんやレモン・金柑などの柑橘系は種をまくとすぐ木に育ちます。実はなかなかなりませんがアゲハ蝶の幼虫が育つには十分です。小さい苗にも卵を産み付けていきます、新芽が大好きなのです。
卵からは1週間弱くらいで小さな黒い幼虫が生まれます、食べられないように鳥のフンに擬態してると言われます。
木の水やりには十分注意です、卵や孵化したての幼虫は本当に小さいです。真夏に勢いよく苗に水やりをすると流されてしまいます。水やりは根元にやりましょう。
木の水やりには十分注意です、卵や孵化したての幼虫は本当に小さいです。真夏に勢いよく苗に水やりをすると流されてしまいます。水やりは根元にやりましょう。
幼虫は木の上でずっと過ごします。蛹になる時は木から下りて夜間に床を歩き回り行方不明になります。沢山の葉を食べる幼虫は蛹になるのも早い気がします。気温が低い日が続くと活動が非活発になり蛹になるのが少し遅れるかもしれません。
蛹になる時は木でなる時もあれば壁や室外機の下で蛹になる幼虫もいます。とにかく鳥や人目につかない場所を探します、察してあげましょう。鉢植えの木などで隠れる場所を好みます。
蜘蛛の巣も幼虫から蛹・蝶になる時に天敵です。蛹になる前にそうじをしてあげましょう。時々蜘蛛の餌食になる蛹を見かけます、あと少しで蝶になれるのにとても残念な気持ちになります。自然界の厳しさでもあります。
床にあるサンダルや使っていない鉢も片付けておいた方が良いです、中で蛹になろうとします、夜に気付かずに踏んづけてしまう危険があります。
(2)柑橘類の木
アゲハの幼虫は柑橘系の葉っぱを食べ尽くしてしまいます。ただ柑橘系の木は年3度(春夏秋)成長期がありまた葉が生えてくるので大丈夫です。柑橘系の棘(トゲ)は危ないので切っても大丈夫とよくネットの記事で見かけます。経験上ベランダ栽培の鉢の場合は株が弱ります、余分の枝を剪定しても弱ります、するなら休眠期の2~3月がおすすめです。
鉢の植え替えもなかなか成功しません、株が弱り春の新芽がなかなか出てきません。抜き苗は定着率が低いです、土をつけたままの植え替えがうまくいくコツです。
冬は乾燥で枯れることがあります。枯れる時は一気に枯れます。葉が全て落ち仮死状態に、枝が白くなり人間でいう「壊死状態」になります。壊死すると簡単に枝が折れてしまいます。翌春(5月中旬くらい)に残った幹から新芽が出れば回復ですが難しいかもしれません🌱 弱った株の特徴はほとんど水を吸い上げません...
(3)蛹(さなぎ)から羽化
秋過ぎの幼虫は蛹になるとそのまま冬を越します。ちょっと驚きですが蛹のまま冬を越し、4月上旬・桜の開花時期に羽化します。気温18℃くらいの秋の蛹は羽化するか冬越しかは微妙です。秋から冬の時期は間違えて蛹を処分してしまわないように注意が必要です。一見抜け殻に見えて掃除したくなります。
飛び立つ直前は羽を速く羽ばたかせてそわそわしています、いよいよ最終段階の準備と一見してわかります。無事に飛び立つ瞬間に立ち会えると感動します、飛び方は心もとないですが遠くに旅立って行きます。
飛び立った後でお礼に1周してくれる蝶もいます。蝶にもお世話した気持ちが伝わるのでしょうか?1か月程ともに生活をした最後の喜びの瞬間です。
(4)蛹(さなぎ)が落ちた!
蛹になる過程で幼虫が固まったまま落ちてしまうことがあります。蛹になった後でも落ちることがあります。人間がひっかけていた糸を切ってしまう場合や蛹(幼虫)自体に触れてしまう場合があります。小皿に幼虫を寝かしたままでも蛹にはなります、蛹も羽化はします。ただ羽化不全の予防のために「ティッシュペーパー」を敷いたりします。フィルム入れのような小さな容器の内側にティッシュで蛹(幼虫)入れを作り(逆円すい)立てて置いてあげると自然の形に適い良いようです。
自然に落ちるのは個体自体の生命力が弱いのかもしれません。小さな幼虫の時も木から落ちる場合があります、やはり猛暑の時が多いです。幼虫にとっても想定外の暑さなのでしょう。
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「バタフライガーデン:蜜源の花や食草で蝶を育てる」
幼虫の天敵・雀(スズメ)対策
(1)グッズで対策
幼虫期の天敵は雀(スズメ)です、大切に育ててきた幼虫の生命(存在)が一瞬で奪われます、自然界の厳しさですね。一度味を占めると全滅するまで毎日やって来ます、それもウキウキしてやって来るのがわかります。スズメにとっては楽しいお食事タイムなのです。早朝にもやって来るので防ぐのが大変難しいです。
ベランダの後方に鉢全体を移動させると効果があるかもしれません。鳥は緑が見えると餌を想像して寄って来ます、木は遊び場や休憩場にもなります。
一番の対策は人間の存在です、餌をよく取りに来る早朝にベランダで水やりなどをして雀に安全な場所でないことを学習させることです。田んぼの「かかし効果」です。雀は光り物も苦手みたいです。空き瓶や缶でDIYするのも良いかもしれません。
100均で猫やタカの模倣品などグッズも売っています。100%の効果を望むなら防鳥ネットを張ることでしょう、景観は良くないですが...
下記の「鳥よけイーグル」はスズメやハトに少しの期間だけ効果がありました、警戒した鳴き声を出して寄り付かなくなりました。8階で目立つのでカラスも縄張り意識からか見学に来ました。ただすぐに慣れてしまいます(スズメには効果はなくなります)。アゲハ蝶も来なくなるかと心配しましたが全く気にせず大丈夫でした。
(2)効果的だった対策(光り物)
スズメ対策で一番効果的だったのは鉢に「園芸用スコップ(光り物)」を置くことです。スズメは光る物が好きではありません。スズメが飛んできて降り立つ場所に置くと効果的だと思います。不安定な小さな鉢の木には直接止まらず近くの見渡しの良い安定した鉢に降り立ちます。そこから獲物のアゲハ幼虫を狙います。光る物をつるしたり色々試してみましたが降り立つ場所が一番効果がありました。
(3)雑草は役に立つ(隠れ家・猛暑対策)
あと雑草は刈らないことです。柑橘類の木の成長阻害になる雑草は抜くのが普通です。鉢で育てているなら尚更です。ただ雑草はアゲハ幼虫がスズメから隠れるのに役立ちます。葉が食べ尽くされるとスズメから隠れる場所がなく丸腰の状態です。雑草は丸腰の木に隠れる場を提供してくれます。
雑草は日陰も作ってくれます。昨今の猛暑で幼虫が干からびて死んでしまうことがあります(8月のピーク)。夏の晴天は柑橘類の木には良い環境ですが幼虫(黒い時期)には大変苦しいみたいです。葉が食べ尽くされた日陰のない8月に暑さのピークがやって来るから大変です。
雑草は余分な水分も吸ってくれます。柑橘類の成長阻害にもあまり関係ないようです。雑草はアゲハ蝶の幼虫の環境には良いものと分かりました。
ワンダリング:蛹前の逃避行
(1)蛹前のエクササイズ?
アゲハ蝶の幼虫が蛹になるときに彷徨う行動を「ワンダリング(wandering)」と言います。まさにあてもなく1∼2時間くらい放浪します。経験的に日中が多いです。ワンダリングは蛹になる場所を探している行動と説明されることが多いです。ワンダリング後になることから一見合理的な説明です。
観察してると蛹になる前に必要なエクササイズ(運動)にも見えます。蛹になる快適な場所を探すのではなく一定時間必要に迫られて動いているように見えます。蛹になる場所は運動後にたまたま行き着いた場所ではないかという異説です。
あとは昆虫学者に研究は任せます。ベランダでナミアゲハを繁殖させていて気付いたことです。マンション隣家にワンダリング越境で苦情されないようによく観察した結果の仮説です。思う存分ワンダリングさせた後では木の近くに戻すと先程まで見向きもしなかった場所で蛹になる準備を始めることが多いです。
(2)天敵対策で遠くまで歩く?
蛹になる前に歩き回るワンダリング、理由はともかくプログラミングされているのは確かなようです。理由は育った柑橘類の木から離れるためかもしれません。天敵となるヤドリバエやクモなどは木の周辺にいます、遠く開けた場所に行けば天敵のリスクが下がります。
ワンダリングでマンションの隣家に行きそうな幼虫を木の周辺にいつも戻していました、そうしたらヤドリバエの被害に会ってしまいました。幼虫は本能で遠くに逃げなきゃと気付いていたのかもしれません、申し訳ないことをしました。
ただ近隣トラブルにならないようにベランダの隣家の間(下の部分)にダンボールを設置しました、幼虫が越境しないように。できるだけ自然にしておきたいですが...
余談ですが、ワンダリングでエアコンの室外機の中に入ってしまった幼虫がいました。構造から羽化しても蝶が中に閉じ込められて外に出られません。しばらく経っても出て来ないので室外機の前面を外しました。案の定、中で蛹になる準備をしようとしていました。別場所に移しました、そこで無事蛹になりました。
羽化不全の蝶はティッシュで砂糖水をあげてもなかなか吸い上げません。気の毒に思い道端から小さな花を取ってきました。蜜を吸うかはわかりません。ただ蝶の一生で一度も花につかまったことがないのは不憫でしょう。
ヤドリバエ対策
(1)蛹(さなぎ)に寄生する恐ろしい存在
蛹までなれば9割方羽化は成功します。もっと言えば卵から孵化すればほぼ蛹までにはなります、卵の孵化も屋外ベランダでも経験的に9割超えです。世間で言われるほど成虫の蝶になるのは稀ではありません。その分羽化がうまくいかなかった場面に出くわすとショックです。蛹が黒くなり死亡するケースも年1∼2回くらいあります。ヤドリバエが寄生したか幼虫自体の食が細く栄養不足の場合が考えられます。
ヤドリバエ対策は大変難しいです。柑橘類の木に有機肥料を与えると様々なハエがやって来ます、申し訳ないですが追い払うようにしてます。ヤドリバエは蛹につくと追い払うのが大変難しいです、殺虫剤は使えません。普段は見つけ次第殺傷するようにしていますが見つけにくいです。100均ではコバエ取り(粘着タイプ)を売っていて効果的かもしれません。
クモはコバエを捕まえてくれますがアゲハ蝶の幼虫も蛹になる時に時々餌食になります。普段幼虫は木の上ですし大丈夫ですが真夏に幼虫が木から落ちた時は心配です。心配なのは羽化する時です、不可不全の時は地面にバタバタしますので餌食になる可能性があります。羽化直前の蛹の周辺だけは蜘蛛の巣を除去すると良いでしょう。
尚、蛹は黒くなっても生きている場合があります(茶色い場合は生きています)、早急に判断して処分するのは止めましょう。特に秋の蛹は冬越しをして桜の咲く4月頃に羽化します。驚くほどの生命力です。残念ながら死んでいる場合は虫が湧きます、穴が開いて白化する場合もあります。
(2)ヤドリバエを水やりで追い払う
ヤドリバエが蛹につくと追い払うのが大変難しいです。蛹の準備に入った幼虫を触るととても嫌がります、ストレスで羽化不全にもなりかねません。相手は生き物なので殺虫剤も使えません。ピンセットでヤドリバエを摘まむのも困難です。一番効果的だったのは雨のように水を少量かけることです。水やりにヤドリバエ嫌がり幼虫から離れたところを殺傷します。いくら蛹前の幼虫でも雨対策の機能はあるはずです。直接幼虫に触ることがなく駆除できるので比較的ストレスは少ないようです。
羽化不全
(1)飛べないアゲハ蝶(2024年)
ある朝アゲハ蝶が羽化しましたが地面にゴミのように落ちていました。クモに襲われたか?土に戻してあげようと拾い上げるとまだ生きていました、羽化不全でした。地面でバタつく飛べないアゲハ蝶、人間にはどうすることもできません😭ベランダの場合は夜に踏みつけないように気をつけて下さい、鉢の水やりにも気をつけて下さい、溢れ出た水で蝶が溺れてしまいます。残り少ない時間、繁殖活動はできませんができるだけのことをしてあげて旅立たせてあげましょう。
飛べないアゲハ蝶、密を吸いに行くこともできませんが、ティシュに砂糖水を染み込ませて近づけるとかぶりついて吸い出しました。やはり空腹なのでしょう。必死の生命力に感動です😭
砂糖水を3食、たまたまあった黒糖に水道水でほんのり甘いくらいに仕上げました。飛べないアゲハ蝶もいつもうずくまっているのですが空腹になると暴れ出すような感じで、砂糖水を与えるとかぶりつき落ち着きます。経験的に3食与えることになりました。満腹だと砂糖水で濡らしたティシュにも食いつきません。
結局5日ほど一緒に過ごした後、天国に旅立ちました。最期には翅はほとんどなくなり見ていてちょっと気の毒でした。真っすぐ歩けないのも餌やりにとても不自由でした。砂糖水をもう少し濃くした方が良かったかなとも思いました。最期のティシュはあまり吸われておらず水分が随分と残っていました。不幸中の幸いはクモに襲われなかったことです。お通夜を過ごした後、翌日早朝に土に戻してあげました🙏
(2)飛べないアゲハ蝶(2025年)
今年も不可不全の飛べないアゲハ蝶が産まれました。8月上旬の猛暑が良くなかったのか?別の幼虫(蛹直前)も炎天下のワンダリングで亡くなっていました。または少し蛹にストレス(誤って場所を移動)を与えてしまったのが良くなかったのかもしれません。スズメ対策で早朝に起きた時に不可不全のアゲハ蝶を見つけました、クモが襲い掛かる寸前でした。昨年同様に砂糖水を与えることにしました。
ただあまり食欲はなく3日目に亡くなりました。炎天下で仮設の日陰を作ってあげたその日に動かなくなりました。また動き出しそうなくらい見た目に損傷はありません。
明日土に戻してあげようと思います、「おくりびと」の仕事です。アゲハ蝶の飼育(イモ活)の中でどうしても発生する辛い仕事です。繁殖活動も花の蜜を吸うことなく終わった一生に敬意を表し写真を残すことにしました。土に戻り柑橘類の養分となり幼虫の食草になる循環に感謝です。
(3)猛暑(2025年):地球温暖化の影響で羽化不全が増える?
今年(2025年)は猛暑で羽化不全(身体障害)のアゲハ蝶が目立ちました。さらに小さな幼虫が干からびてしまうケースも度々見かけました。例年にはあまり見かけない状況です。地球温暖化の影響でしょうか?屋外で自然に近い状態で繁殖しているので虫も自然界の異変には敏感です。人間はエアコンをガンガンにかけて猛暑から逃れる術があります。ベランダには弛まず室外機から水が排出、虫から見れば「水路」に落ちないように気をつけなければなりません。何度も水路に落ちた飛べない羽化不全の蝶を拾い上げました。
羽化不全の蝶はティッシュで砂糖水をあげてもなかなか吸い上げません。気の毒に思い道端から小さな花を取ってきました。蜜を吸うかはわかりません。ただ蝶の一生で一度も花につかまったことがないのは不憫でしょう。
ベランダガーデニング:小さな自然空間
ベランダガーデニングは良い息抜きになります。都会暮らしに「憩いの場所」を与えてくれます。同時に自然界の厳しさも教えてくれます。子どもには最強の教材です。ベランダガーデニングは虫たちの家にもなります。トンボの寝床になったりします、木につかまって夜に休息していたりします。
アゲハ蝶の幼虫は蛹になる時は夜間に地上を動き回ります。夜はベランダに出ないようにしています、虫たちの時間帯です。



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