小さな会社の決算業務(税務事項備忘録)
決算業務の流れ
決算業務の大まかな流れは下記の通りです:- 収入・領収書のチェック
- 仕訳チェック(会計ソフト)
- 決算書作成(会計ソフト)
- 申告書と付表等を作成/国税(e-Tax)
- 申告書作成/地方税(eLTAX)
- 電子納税(口座振替)
「小さな会社の確定申告書の作り方:E-TAXとELTAX」
「小さな会社の決算業務(e-TaxとeLTAX)」
(1)年末調整の流れ(12月)
- 賃金台帳の作成→書式自由
- 年末調整/控除申告書(給与所得者):給与所得者の保険料控除申告書&給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書→年調アプリ
- 源泉徴収簿の作成(令和3年分)→書式自由
- 給与支払報告書と法定調書の提出→eLTAX一括送信(市町村&税務署/1月末期限)
- 上記の控除申告書のオンライン入力は「Internet Explorer 11」でしかできません、ブラウザが「Google Chrome」や「Microsoft Edge」では駄目です(EdgeのInternet Explorerモードを有効にしても漢字入力が表示されません)
- 国税庁HPには「手書き用(PDF)や記載例」もあります
関連記事:
「小さな会社の年末調整:年調アプリは大変便利」
「給与支払報告書と法定調書:eLTAXで一括提出」
「源泉所得税:所得税徴収高計算書の提出(e-Taxソフト)」
決算申告:税務事項
(1)税率:国税・県税・市税(令和3年度~)
法人税:15%(~800万円)、23.2%(800万円超の部分)- 地方法人税(国税):法人税額x10.3%
- 法人県民税:法人税額x1.0%
- 事業税(県民税):法人税額x3.5%(~400万円)、法人税額x5.3%(400万円超~800万円の部分)、法人税額x7.0%(800万円超の部分)
- 特別法人事業税(国税):事業税x37.0%
- 法人市民税:法人税額x6.0%
特別法人事業税は国税ですが法人事業税(県税)と併せて申告納付します。
普通の会社は「外形標準課税対象法人・特別法人以外の法人」に該当します(税率37%)。特別法人や収入金額課税法人ではありません。
尚、事業税と特別法人事業税は「損金算入扱い」になります。
(2)給付金の経理処理
持続化給付金などは経理処理で雑収入になり課税対象(本年度)です。黒字の場合は一部税金(法人税等)として返還になります。給付金分を加算しても赤字の場合は納税はありません。雑収入としての経理処理は必要です。
(3)法人(青色申告)の繰損は10年
- 法人の各事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入される
- 平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年(平成28年度の税制改正)
青色申告の適用を受けてない人は「青色申告承認申請書」の提出が必要です。繰越損失などメリットが多いので提出を強くおすすめします。
適用を受けるには年度の3月15日までに所轄税務署に提出する必要があります。基本本年度分の適用はありません(次年度からの適用になります)。
関連記事:
「フリーウェイ経理LITE:決算書の作り方」
「法人税と地方税:中間申告と中間納付」
「外国税の会計処理方式(受取配当金)」
備忘録1:税金の猶予制度
新型コロナに関連して「税金猶予制度」があります⇒国税庁「新型コロナの影響により納税が困難な方へ」所轄の税務署に「納税の猶予申請書」の提出が必要です。
原則1年間猶予が認められます(原則無担保)⇒国税庁「新型コロナの影響により納税が困難な方の猶予制度」
地方税(県税・市税)についても同様の「税金猶予制度」があると思います。まずは該当の自治体に相談することをおすすめします。
税金と同様に社会保険料(厚生年金保険料等)の猶予制度もあります⇒厚生労働省「新型コロナの影響により厚生年金保険料等の納付が困難な場合(猶予制度)」
備忘録2:令和2年度税率変更(地方法人税等)
- 地方法人税(国税):4.4%→10.3%
- 県民税:3.2%→1.0%
- 市民税:9.7%→6.0%
- 地方法人特別税:43.2%→廃止
- 特別法人事業税(国税)の創設:37.0%
- 特別法人事業税は国税だが法人事業税と併せて申告納付(損金算入扱い)
- 普通の会社は「外形標準課税対象法人・特別法人以外の法人」に該当(税率37%)、特別法人・収入金額課税法人ではない