不動産の所有者が亡くなった相続登記のやり方(オンライン申請)


不動産の相続登記

相続人が決定したら登記が必要になります。相続税の申告期限(10か月以内)までに相続登記を済ました方が所有者が明瞭でしょう。

尚、令和6年4月1日より相続登記が義務化されます→「民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要(法務省令和4年6月)



不動産の名義変更は管轄の法務局で行います。

登記は司法書士にお願いすることもできます。法務局に相談して自分で登記申請を行うこともできます。

必要書類を郵送して申請することもできます。マイナンバーカードを利用してオンライン登記申請も可能です。

オンライン申請はカードを読み込むICカードリーダーが必要になります。Amazonなどで3千円程度で購入できます。

関連記事:
「親やパートナーの死亡後にすぐにやるべきこと」
「住宅ローン:抵当権抹消登記のやり方(オンライン申請)」

申請書作成の準備:単独で不動産を相続

(1)オンライン申請の事前準備

登記には「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。「動画でわかるオンライン登記申請(事前準備編)」で全体像がつかめます。

利用にはトップページから申請者情報の登録を行い申請者IDとパスワードを取得します:
  1. 申請者情報の登録(初回のみ)
  2. 申請用総合ソフトのインストール(初回のみ)
  3. 申請用総合ソフトへのログイン
利用時間は平日の午前8時30分~午後9時です。利用料は無料です。

(2)書面提出書類(オンライン申請から2日以内に提出)

書面提出書類は管轄登記所に持参か書留郵便等で送付します。

オンライン申請の受付日から2日以内(休日等を除く)に提出します:
  • 代理権限証明情報:本件登記申請に係る「委任状」
  • 登記原因証明情報:戸籍全部事項証明書等
  • ①被相続人(死亡者):「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)」と「除籍全部事項証明書(除籍謄本)」
    ②遺産分割協議の該当者:「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)」
    ③「相続関係説明図」 ※登記原因証明情報としてオンライン申請で「PDF添付」が必要🚩→原本は郵送
    ④「遺産分割協議書」と該当者の「印鑑証明書」(原本還付不可)
[その他必要書類]
  • 不動産相続人(名義人)の「住民票」
  • 「固定資産課税証明書(写し)」または「固定資産評価証明書」:最新のもの(毎年4月1日更新)
  • 登録免許税:上記価格(土地建物合計額)の「1000分の4(100円未満切り捨て)」→申請後に電子納付(ペイジー/インタネットバンキング等)
  • 返信用封筒(切手貼付/住所記載):必要に応じて
尚、「権利証」は所有者死亡・意思確認不能につき不要です。替わりに戸籍や遺産分割協議書などで相続を証明します。

オンライン申請の注意点

  1. 不動産→申請書作成
  2. 「登記申請書(権利に関する登記)(4)所有権の移転(相続)【署名要】
マニュアルに沿って進めるとわかりやすいです→申請用総合ソフト(不動産登記申請)「1-6申請情報作成例⑤【所有権移転登記・相続(遺産分割協議)編】」

(1)添付情報

  • 代理権限証明情報(送付)
  • 登記原因証明情報(送付)
  • 住所証明情報*(送付)
※持参→(持参)、書面提出→(特例)、*公的個人認証サービス利用は省略可→(省略)

(2)登記申請書

  • 件名:任意のものを入力
  • 登記の目的:「所有権移転」
  • 原因:「令和X年X月X日相続」*
*遺産分割協議日ではなく「被相続人(前所有者)の死亡日(戸籍上の死亡日)」を入力

(3)課税価格と登録免許税

課税価格は市町村の固定資産課税台帳の最新の価格(毎年4月1日更新)になります。土地と建物価格の合計額を記入します。

登録免許税は上記価格の「1000分の4(100円未満切り捨て)」を記入します。

(4)登記完了証・登記識別情報

  • 登記完了証交付方法:「オンライン」、または「登記所で交付」「送付*」
  • *登記完了までに郵便切手を登記所に提出
  • 登記識別情報の通知方法:「登記所で交付」、または「オンライン通知*」
*「登記識別情報通知取得用届出様式」を作成することが必要(下記「まとめ」参照)

(5)添付情報の添付

登記原因証明情報「相続関係説明図」は申請情報にPDFファイル添付が必要です。書面(郵送)でも提出が必要です。

エクセル「相続関係説明図」から作成できます。事前に作成してPDF化しておきましょう。

申請のPDF添付は正当な手続きを確保(勝手申請を回避)が目的のようです。

尚、遺産分割協議書をマイナンバーカードで各自署名して提出も可能です。ただ必須ではないので他の書類と郵送した方が簡単です。

署名・送信

入力を終えたら上部の「チェック」をします。数字等はすべて「全角入力」です。🚩

エラーを修正したら上部の「プレビュー表示」で最終確認をします。上部の「完了」→「保存」で入力完了です。

作成済の申請書に署名を入れます:
  1. 不動産→申請書選択→「署名付与」(右上)をクリック
  2. ICカードで署名(マイナンバーカードの場合)→アクセスパスワード(12桁の暗証番号)→OK
  3. 情報に「署」のマーク
申請書に署名を入れたら送信します:
  1. 「申請データ送信」(右上)をクリック
  2. チェック→送信(送信完了)
  3. 「更新」(右上)をクリック→「到達」が点灯

電子納付・添付書類の郵送

(1)電子納付

  1. 「更新」をクリック→「納付」をクリック
  2. 電子納付画面→「納付」または「印刷」で番号を控えて後程納付
  3. ATMやネットバンクでペイジー振込(現金も可)

(2)添付書類の郵送

申請画面の「添付情報の内訳表」を印刷・添付して書類を法務局に郵送します🚩:
  1. 該当申請を選択→処理状況表示画面の「アクション」(上部)をクリック
  2. 「書面により提出した添付情報の内訳表の印刷(不動産)」(プルダウンの下の方)→印刷*
*Google Chromeで印刷できない場合はURLをコピーしてMicrosoft Edgeで表示させ印刷すると解決🚩

送付状(日中連絡が取れる電話番号を記載)も添付することをおすすめします。ミスや確認で電話がかかってくることが多々あります。

尚、郵送方法はできる限り到達の確認が可能な書留等で送付します。封筒には「登記申請書在中」と明記(→「商業・法人登記の郵送申請について」)。🚩

まとめ:登記完了や登記識別情報の通知もオンライン

書類提出後は手続きが完了すると処理状況が「手続終了」になります。

登記完了後は「登記完了証」の交付を受けます。オンラインまたは書面により交付されます(オンラインは申請画面で受領)。

登記完了後に所有権の登記名義人には「登記識別情報」も通知されます。

オンライン受領の場合は申請が必要です:

1.「登記識別情報通知ダウンロード様式」の作成
  1. 申請書作成→不動産登記申請書→「登記識別情報通知ダウンロード様式【署名要】」
  2. 件名:任意のものを入力
  3. 申請番号:処理状況表示画面の右下にある
  4. 申請人:入力、代理人:「登記事項転記」ボタンを押す
  5. 右上の「完了」ボタンを押す→申請書の保存「はい」
2.「取得者特定ファイル」の添付
  1. 処理状況表示画面「登記識別情報通知ダウンロード様式」をクリック
  2. 「ファイルを添付」をクリック→「登記識別情報関係様式追加」をクリック
  3. 上記作成のファイルを選択→保存(→「添付ファイル一覧」に反映)
  4. 電子署名→送信
しばらくすると登記識別情報が送信されます。ダウンロードして保存します。

一見大変そうですが入力項目もほとんどなく「登記所で交付」よりは楽でしょう。

関連記事:
「会社の印鑑証明書の取得方法(オンライン申請)」

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