算定基礎届の提出:e-Gov(電子申請)が大変便利に
被保険者報酬月額算定基礎届
(1)算定基礎届の提出
事業者が年金事務所に毎年7月上旬「算定基礎届」を提出する必要があります:- 提出期間:7月1日~7月10日(令和6年)🚩
- 提出方法:郵送または電子申請
下記では電子申請(e-Gov)による提出について解説しています。社長の「マイナンバーカード」があれば電子申請もできます。
e-Govのアカウントはメールアドレスがあればすぐに作成できます。GビズIDやMicrosoftアカウントでもe-Gov(イーガブ)にログインできます。
尚、令和3年(2021年)4月から「算定基礎届総括表」の提出は不要になりました。賞与支払届総括表も不要・賞与不支給報告書の提出は必要(賞与不支給でも)です。
(2)e-Govアプリのインストール
システムが2020年11月末にリニューアルされました。利用開始にはアプリのインストールとアカウント登録が必要になります:
- アカウントはメールアドレスでe-Govアカウント仮登録して取得します
- アプリのインストール
算定基礎届のオンライン申請
(1)電子申請
ここでは少人数会社のケース「単記用(2019年5月以降手続き)」を説明しています。マニュアルとして入力しながら読むとわかりやすいと思います。下記のどちらからでも申請画面(e-Gov)に行けます:
- 手続検索結果一覧→「申請書入力へ」(e-Gov)
- 「算定基礎届(単記用)(2019年5月以降手続き)」→「申請書入力へ」(e-Gov)
(2)申請書の入力
申請書の入力項目は紙ベースと同じです。まずは基本情報を入力します。申請者情報と連絡先情報は基本情報を「選択」→「設定」で入力されます。
[電子申請の注意点]
- 被保険者氏名及びフリガナを「全角」で入力🚩
- 姓と名の間に「スペース1文字(全角)」を入れる🚩
※前回申請書(PDF)をコピーして入力すると名前のスペースが「半角スペース」になります、「全角スペース」で再入力が必要です
最後に提出先を選択して電子署名をします。途中で入力を止めるときは「一時保存して中断」の方を選びます。
(3)電子署名
申請書入力を終えたら電子署名をします。電子署名は社長の「マイナンバーカード」が利用できます。カードリーダーを使って署名します:
- 入力完了
- 提出先を選択(→県→年金事務所)
- マイナンバーカードをセット
- 申請書の下にある「内容と確認」をクリック*
- [PINコード(マイナンバーカードの10桁の暗証番号)を入力]**
- 提出(→申請書控えダウンロード)
**GビズID(プライム)でログインの場合はマイナンバーカード認証は不要
送信後に申請案件一覧から申請状況の確認ができます。不備通知が来てないか申請状況の確認が必要です(登録すればメール連絡可↓)。
(4)標準報酬決定通知書
算定基礎届の提出から1週間くらいで審査終了になります。e-Govトップページの「直近の案件」か「申請案件一覧」から確認できます。標準報酬決定通知書もダウンロードできます:
- 「公文書(001)」もしくは「公文書をダウンロード」から入手
- 「公文書をダウンロード」の方はZipファイル(→クリックしてファイルコピー)
審査の進捗状況は登録するとメールで通知してくれます。e-Govは基本情報のメール登録は任意となっています。
設定でメール通知を「受信」に変更する必要があります:
- 右上ログアウトのアイコン→利用者設定
- メール通知:すべて「受信する」(暗号化は不要)
申請後は念のためe-Govで進捗状況のチェックもおすすめします。
まとめ:算定基礎届(e-Gov)はGビズIDでさらに便利に
電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)」が2020年11月にリニューアルしました。新システムになり文書の保存や送信が簡単になり使い勝手が非常に良くなりました。新システムは文書の一時保存して途中で止めることも可能です(24時間365日利用可能)。マイページに基礎届のページをブックマークして次年度から活用もできます。
e-Govはメールでアカウント作成すればすぐ利用できます。
GビズIDでもログインできます。「GビズID(プライム)」のログインではマイナンバーカードの署名が不用になります。
尚、2023年1月10日から社会保険料「決定通知書」をe-Govで受領可能になりました→「日本年金機構:オンライン事業所年金情報サービス(事業主の方)」
電子データの受取にはe-Govに「GビズID(プライム)」でログインする必要があります。「暗証番号」や「GビズID(エントリー)」のログインでは入手不可です。
GビズID(プライム)の必要性が一気に高まりました。GビズID(プライム)の開始には「申請書」と「印鑑証明書」を郵送する必要があります。
関連記事:
「オンライン事業所年金情報サービス」
「GビズID:行政サービスのログインをラクに?」
追記:随時改定
(1)被保険者報酬月額変更届の提出
被保険者の報酬が固定的賃金の変動(昇降等)に伴い大幅に変わった場合が該当します。定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。随時改定は次の3つの条件を全て満たす場合に行います:
- 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった
- 変動月から3か月間の報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額の該当標準報酬月額と旧標準報酬月額の間に2等級以上の差が生じた(標準報酬月額等級表の上限と下限の等級変更は2等級以上変更なくても随時改定の対象)
- 3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所勤務の短時間労働者は11日)以上
通常の算定基礎届と同様にe-Govで提出できます(書類は「変更届」):
- 手続検索(e-Gov HP上段)
- 手続名称から探す:「被保険者報酬月額変更届」
- 手続検索結果一覧
通常の手続きと同様に下段にある「申請書入力へ」から申請書作成を開始します。e-Gov電子申請アプリケーションを起動させて手続きに入ります。
e-Govアプリのアップデートがうまくいかない場合はアンインストールして再インストールするとうまくいく場合があります。
尚、役員報酬の変更は期初から原則3か月以内です。会社は「株主総会議事録」の作成も必要になります。
(2)月額変更届の提出が遅れた場合
[スケジュール例:12月決算で1月25日から賃金変動があった場合]- 1~3月の賃金で算定
- 3/25以降に被保険者報酬月額変更届を提出(随時改定対象の場合)
- 改定年月:4月~
- 支払い期日は翌月末(5月末)
保険料は遡って合算で請求されます(口座引き落としも合算)。長期になると一度に払う保険料が多額になるので気を付けましょう。
付記:IE終了でファイル(公文書)が読めない問題
インターネット・エクスプローラーは2022年6月16日でサポートが終了しました。後継はマイクロソフト・エッジ(Microsoft Edge)になります。IE以外のブラウザで取得済みの電子公文書(XML形式のもの)が表示できなくなりました。過去のファイルを参考にしようと思ったら画面が真っ白になりお困りの人も多いでしょう。
Edgeには「Internet Explorerモード」があります:
[Internet Explorerモード有効の設定]
- マイクロソフト・エッジを開く
- 設定→既定のブラウザー(左側メニュー)
- Internet Explorerの互換性:①Internet ExplorerにMicrosoft Edgeでサイトを開かせる→「常に(推奨)」、②Internet Explorerモードでサイトの再読み込みを許可→「許可」
- ブラウザー再起動
表示できたら念のためPDF保存しておくと良いでしょう。
IE11を削除してしまった人は再インストールが必要です:
[Internet Explorer 11の再インストール]
- スタートボタンを右クリック
- 設定→アプリ→オプション機能→機能の追加
- Internet Explorer 11にチェック
- 再起動
「E-TAX(確定申告):EDGEとCHROMEが利用可能に」
旧e-Gov備忘録
(1)電子申請の注意事項
申請書の電子送信はプログラムによる自動チェックされしばしば戻されます(よくある返戻理由↓):[基礎届]
- [⑤被保険者氏名 カナ氏名]の欄:姓と名の間に「スペース」を入力
- [⑤被保険者氏名 漢字氏名]の欄:姓と名の間に「スペース」を入力
- (添付書類)欄の「電子」を選択していますが、添付書類が添付されていません
- 申請の下部に「電子」「郵送」「なし」の選択→「なし」を選択(「電子」になっていませんか?)
(2)保存ファイルが開けない場合:XPSビューアー
申請の送信完了時に「到達番号」と「問合せ番号」の画面を保存したと思います。
保存ファイルが開けない(壊れていると表示される)場合はXPSビューアーで開けます:
ファイルが開けなくなった原因はWindows10のアップデートです。バージョン1803からXPSビューアーが削除されて見れなくなくなりました。
- XPSビューアー:スタート(右クリック)→検索:「xps」入力→一番上「XPSビューアー」クリック
- 「ファイル」プルダウン→「開く」→該当ファイル選択→「開く」
ファイルが開けなくなった原因はWindows10のアップデートです。バージョン1803からXPSビューアーが削除されて見れなくなくなりました。