東京ガスの電気(新電力)レビュー


燃料費調整額問題🚩

(1)燃料費調整額に上限なし

  • 電気料金は毎月の燃料価格の変動を燃料費調整額として反映
  • 昨今の燃料価格の高騰の情勢で電源調達コストの高騰が避けられない情勢
  • 東京ガスの電気は燃料費調整の上限価格の設定がもともとない
新電力は各地域の電力会社(東京電力等)の従来プランの料金より大幅に高くなります。燃料費調整額の「上限設定のある電力プラン」に変更することをおすすめします。🚩

大手電力会社の従来の電力プラン「従量電灯B」です。新電力は燃料費調整額の上限設定がなく電気料金が大幅に上がっています。

(2)一般家庭(月360kWh)の試算

楽観的に考えれば原油と円安のピークは過ぎました。政府の電気・ガス料金の負担軽減対策も決まりました。
電気料金の負担軽減対策
ガス料金の負担軽減対策
※値引き単価を反映した燃料費調整単価・原料費調整単価で料金を算定🚩

手間を考えて放置する人もいるでしょう。放置したくない人は下記「従量電灯B」か「アクアエナジー100」に回避がおすすめです。

(3)東京電力「従量電灯B」か「アクアエナジー100」に回避

東京電力など「従量電灯B(上限設定あり)」に変更すれば増加は回避できます。東京電力の場合はカスタマーセンターに電話申込と東京ガスに解約電話が必要です。

他プランはネット申し込みができます(解約電話も不要)。東京電力は従量電灯Bの3割値上げを申請中です。

全国の大手電力会社は規制料金の値上げ申請や検討を開始しています。

東京電力の「アクアエナジー100」は燃料費調整額が元々ありません:
  • 基本料金+電気量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金*
  • エネルギー価格の上昇リスクなし(不確定要素なし)🚩
*全国全ての電力会社で同一の料金体系:3.45円/kWh(2022年5月分~2023年4月分)

一般家庭はアンペア「30A」未満だと従量電灯Bより割安になりました(値上げ前)。3割値上げ後の各自電気量とアンペアで電気料金の試算をおすすめします。

ネット申込も可能です。エネルギー価格が下落したら通常プランに戻すこともできます。

通常プランは燃料費調整額のマイナスを享受できるからです。ウクライナ侵攻前(2021年)のエネルギー価格ではアクアエナジー100は割高でした。

(4)東京電力のメリットと注意点

自由化後の新プランやアクアエナジー100は「口座振替割引(月55円)」は適用外です。今は「従量電灯B」のみ適用です(廃止になるかもしれませんが)。

くらしTEPCO webのポイントサービスでは毎月1回ログインで50ポイントがもらえます。貯まったポイントは好きなタイミングで300ポイント(300円)から各種交換できます。

東京電力はガス契約でも毎月1回ログインでさらに50ポイント(50円)がもらえます。電気とガスのセット割もありお得です(月102円割引/従量電灯Bは対象外🚩)。

生活かけつけサービス」も無料でついてくるので地味に安心です(通常月330円)。従量電灯Bやアクアエナジー100は対象外ですが「とくとくガスプラン」が対象です。

関連記事:
「ENEOSでんき(新電力)レビュー」

(5)ガスの注意点

東京ガスは原料費調整額の変動額に上限があります。2022年10月検針分より段階的に上限額を引き上げます(7月以降上限超過の解消)。
調整上限段階変更(東京ガス)
※2022年8月適用分の平均原料価格「97,630円/トン」

東京電力のガスは割引があります(変動額上限がなくリスクも)。
とくとくガスプラン(東京電力)
ENEOSガス(4%割引)は東京ガスと同一単価を謳っています。


東京ガスの電気:安心な新電力

下記は燃料費調整額の上昇がない頃の内容です。昨今の情勢では電気料金が高くなるリスクがあります。

(1)クリーンな天然ガスによる発電

東京ガスは関東エリアの人なら馴染みのある公共会社でしょう。新電力は興味があるが知らない会社は不安という人のニーズを満たしてくれます。

新電力を検討する理由は様々です。

主な理由は下記のようなものでしょう:
  1. 料金などお値打ち感:割引やポイント付与など
  2. 環境問題:地球温暖化など
  3. 企業の信頼性:原子力問題(福島の事故)など
結論から言うと東京ガスの電気は上記をマイルドに満たしてくれる良い選択です。

東京ガスですから天然ガスによる火力発電をメインとしています。関東を中心に天然ガス火力発電所を運営/出資しています。

天然ガスは環境負荷の少ないエネルギー源です。地球温暖化や大気汚染の原因とされるCO2やNOxの排出量が少ないです。

[電源構成](2020年度実績)
  • LNG(液化天然ガス):81.02%
  • JEPX(日本卸電力取引所):10.15%(水力・火力・原子力・FIT電気・再生可能エネルギーなど)
  • 太陽光:3.29%
  • 石炭:2.65%
  • 石油:1.62%
  • その他:1.27%
太陽光や水力・風力発電の方が環境には好ましいかもしれません。現実的に再生可能エネルギー100%の電力料金は日本ではまだ割高です。

再生可能エネルギーを謳っている会社でも温室効果ガス排出量が多かったりします。これは自社で賄えない電力を取引所などから調達するためです。

(2)温室効果ガス排出係数

東京電力の温室効果ガス排出係数は「0.000468」です(表1)。

関東の場合はこれより小さければ「環境にやさしい電力の乗り換え」になります:

[表1:基礎排出係数(t-CO2/kWh)*/基幹電力会社]
  1. 九州電力 0.000319
  2. 関西電力 0.000352
  3. 中部電力 0.000457
  4. 東京電力 0.000468
  5. 四国電力 0.000500
  6. 東北電力 0.000522
  7. 北陸電力 0.000542
  8. 中国電力 0.000618(調整後0.000636)
  9. 北海道電力 0.000643(調整後0.000656)
  10. 沖縄電力 0.000786(調整後0.000769)
主な新電力の温室効果ガス排出係数は下記の通りです(表2):

[表2:基礎排出係数(t-CO2/kWh)*/新電力会社]
  1. みんな電力 0.000234
  2. ミツウロコでんき 0.000309
  3. 東京ガス 0.000432(調整後0.000398)
  4. Looopでんき 0.000462
  5. グリーナ 0.000466
  6. HTBエナジー 0.000473(調整後0.000577)
  7. ENEOSでんき 0.000503(調整後0.000494)
  8. ソフトバンクでんき 0.000513(調整後0.000528)
  9. 東急でんき 0.000530(調整後0.000491)
  10. auでんき 0.000541(調整後0.000574)
  11. 楽天でんき 0.000558(調整後0.000512)
*電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)
-平成30年度実績-R2.1.7環境省・経済産業省公表

グリーンの部分が東京電力より排出係数が小さい電力会社です。大手企業を選ぶと東京ガスになるでしょうか。

電気料金を重視の人は上記は無視してください。シンプルに料金比較で選べば良いでしょう。

温暖化問題を重視する人は料金等はさておき温室効果ガス排出量を重視すべきでしょう。東京ガスの電気の電源構成に石炭10%があるのが気になる人がいるかもしれません。

(3)お得な電気料金

東京ガスの電気料金はマイルドに東京電力より安いです。「ガス・電気セット割」もあります。

ただ最安値を求める人は満足させないかもしれません。

電力使用量で電気料金のお値打ち感もかなり変わってきます。最安値を求める人はご自分の電気使用量で電気料金を個別に比べる必要があります。

まとめ:大手で安心・環境にもやさしい電気

東京ガスの電気は大手で安心・環境にもやさしい電力です。バランスの良い電力会社を求めている人には適していると思います。

環境問題は気になるけど電気料金が高くなるのは嫌だという人は多いです。東京ガスの電気は環境にもやさしく料金も安くなるという理想的なものです。

東京ガスの安心感と相まってとても人気のある新電力です。今後も東京電力の有力な対抗馬になるのではないでしょうか。

賃貸に住んでいる人も申し込みができます。現在の電力会社への連絡は東京ガスがすべてやってくれます。

対象エリアが関東のみが残念なところです。



関連記事:
「みんな電力(新電力)レビュー」

追記:

(1)東京電力の電源構成(2021年度実績)

  • LNG・その他ガス:56%
  • 石炭:21%
  • FIT電気:8%
  • 再生可能エネルギー:3%
  • 水力:3%
  • 石油:0%
  • 原子力:0%
  • その他:10%

(2)英国の電力構成

  1. ガス:38.1%
  2. 原子力:18.4%
  3. 風力:18.3%
  4. 輸入:10.3%
  5. 太陽光:6.3%
  6. バイオマス:5.2%
  7. 水力:3.4%
  8. 石炭:0.0%
再生可能エネルギー:33.2%

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