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自民党総裁選:3氏の政策比較(菅義偉氏・岸田文雄氏・石破茂氏)


はじめに

自民党総裁選(2020)の3氏の政策を比較してみました(順不同)。党派やイデオロギーに関係なく政策からの分析です。情報源は候補者のHPです。

同じ党なので政策は大観すれば似通っています。実際は党内の関係性で決するのかもしれません。

庶民には投票権はありませんが日本の将来を考える上で重要と考えました。論点整理に活用してください。


各候補者の政策概要

(1)菅義偉氏の政策

自助 ・ 共助 ・ 公助、 そして絆
地方から活力あふれる日本に!

1.国難の新型コロナ危機を克服
  • いまこそ政治がしっかりと責任を持って、まず、爆発的な感染は絶対に防ぎ、国民の命と健康を守ります。その上で、 感染対策と経済活動との両立を図ります
  • 年初以来の新型コロナ対策の経験をいかし、メリハリの利いた感染対策を行いつつ、検査体制を拡充し、必要な医療体制を確保し、来年前半までに全国民分のワクチンの確保を目指します
2.縦割り打破なくして日本再生なし
  • なかなか進まない政策課題は大体、複数の役所にまたがり、「役所の縦割り」が壁になっているものです。災害対策でも、縦割りが壁となり、全国で国交省所管以外の約900のダムが洪水対策に使われていませんでした。政治主導で見直しを進め、全国で新たに八ッ場ダム50個分の水量について事前放流してダムの水位を下げて、大雨時に下流の水位を下げることになりました
  • ポストコロナに向けてデジタル化の必要性が明らかになりましたが、かねてより「行政のデジタル化の鍵となるマイナンバーカードの普及が進んでいない」と指摘されています。できるものから年内に具体策を講じつつ、複数の役所に分かれている政策を強力に進める体制を構築します
3.雇用を確保暮らしを守る
  • 依然厳しい経済状況の中で、雇用を守り、事業を継続するために、今後も躊躇なく対策を講じます。最大200万円の持続化給付金、公庫や銀行による最大4000万円の無利子・無担保などの総額230兆円の経済対策について、スピーディに必要な方々にお届けします
  • さらに、GoToキャンペーンをはじめ、感染対策をしっかり講じることを前提に、観光など新型コロナによってダメージを受けた多くの業種を支援します
4.活力ある地方を創る
  • 私は秋田の農家の長男として生まれ、地元で高校まで卒業しました。それが私の原点であり、実行政治の道を志して以来、常に「活力ある地方を創りたい」という思いを胸に、知恵を絞り、政策をしてきました
  • 総務大臣時代には、官僚に大反対されながらも「ふるさと納税」を立ち上げて、いまでは年間約5千億円まで拡大しました。官房長官としては、外国人観光客を約4倍の年間3200万人、消費額年間5兆円まで拡大し、農産品の輸出を倍増して9000億円にしました。 昨年地方の地価が27年ぶりに増加に転じました
  • 今後も、最低賃金の全国的な引き上げを行い、農業改革や観光をはじめ頑張る地方を政治主導でサポートします
5.少子化に対処し安心の社会保障を
  • 人生100年時代の中で、 全世代の誰もが安心できる社会保障制度を構築します。これまで、幼稚園・保育園、大学・専門学校の無償化、男性の国家公務員による最低1か月の育休取得などを進めてきました。今後、出産を希望する世帯を支援するために不妊治療の支援拡大を行い、さらに、保育サービスを拡充し、長年の待機児童問題を終わらせて、安心して子どもを生み育てられる環境、女性が活躍できる環境を実現します
  • これまでのしがらみを排して制度の非効率・不公平を是正し、次世代に安心の社会保障制度を引き継げるよう改革に取り組みます
6.国益を守る外交 ・ 危機管理
  • 我が国の安全保障環境が一層厳しくなるなか、機能する日米同盟を基軸とした外交・安全保障政策を展開していきます。 国益を守り抜くため、「自由で開かれたインド太平洋」を戦略的に推進するとともに、中国をはじめとする近隣国との安定的な関係を構築します。「戦後外交の総決算」 を目指し、特に拉致問題の解決に向けた取組に引き続き全力を傾けます。憲法改正にも取り組みます
  • 安全保障上の脅威、自然災害、海外に在留する日本国民への危険など、あらゆる緊急事態・危機に、迅速かつ的確に対処します

(2)岸田文雄氏の政策

分断から協調へ
「公正でやさしい」、「筋の通った」政治

1.先ずは、国民の命と暮らしを守り抜く新型コロナウイルス対策に万全
  • PCR 検査体制の拡充、医療提供体制の充実、ワクチン・治療薬の開発推進を一体的に実施します
  • 秋冬のインフルエンザ流行期に備え、インフルエンザワクチンの確保、無料での接種、検査体制の強化を進めます
  • 新型コロナウイルス患者を受け入れる医療機関を中心に、安心して診療にあたれるよう経営不安を払拭する財政支援に取り組みます
  • 感染症拡大防止と経済対策を両輪としてバランスよく進めるため、質を担保しつつ、行政検査の枠外のPCR検査を拡充し、必要に応じて柔軟に低負担でPCR検査を受けられるようにします
  • 経済状況を適切にモニタリングし、必要に応じ、臨機応変に追加の財政対策を講じます
  • 新型インフルエンザ特別措置法を含めた感染症対策の在り方を見直すとともに、治療薬やワクチン、検査機器、マスクやガウン等の国内生産を徹底的に強化します
  • これまでの感染状況や死亡率等のデータを分析し、感染症対策と経済・社会活動対策の両立に向けた出口戦略を描きます
2.持続可能な新しい資本主義の構築~中間層の復活・格差の是正~
  • 大企業と中小企業の共存共栄モデルの推進、人への投資促進、地産地消の徹底などを通じて、富の適切な「分配」を強化するとともに、中間所得層の厚みを増すため、最低賃金の引き上げ、教育費負担や住宅費負担の軽減策などを行うことにより、格差に向き合い、成長の果実を幅広く届けます
  • 産業構造を転換し、「高付加価値モデル」による持続可能な経済システムを構築します。その前提として、人づくり・技術革新に向けた、高等教育への支援強化、研究開発力強化のための官民共同の大規模基金「日本イノベーション基金」の創設、AI・量子・宇宙・海洋等におけるイノベーションを強力に推進します
  • データ活用と先端技術の社会実装により新しい時代の成長のエンジンを創造します。そのために、全省庁の 規制を徹底的に見直す「デジタル規制改革」や省庁の縦割りを排した「データ庁」の設置を進めます
  • サプライチェーンの多角化や製造業の国内回帰など経済構造の多層化、経済インテリジェンスの強化など、 経済安全保障体制を構築します
  • 不妊治療への支援や育児休業の拡充などの「少子化対策」、再生可能エネルギーの推進や環境に優しい素材開発などの「地球温暖化・エネルギー対策」、成長とワイズスペンディングなどの「財政健全化」の3本を柱に、経済社会の持続可能性を増す取組みを進めます
3.地方の復権~デジタル田園都市国家構想~
  • 5Gの地方からの早期全国展開をはかり、デジタル技術とデータを活用した人間中心のテクノロジーにより、地方の生活の利便性向上、経済再生、都市部との共存を実現する「デジタル田園都市国家構想」を推進します。このため、国・地方を通じたデジタル化を強力に推進するよう、省庁横断の新組織を設置します
  • 農林水産業の成長産業化を進めるとともに、家族農業や中山間地農業などがもつ多面的機能を守っていきます。また、毎年発生している激甚な水害・土砂災害や大規模地震などに備えるため「災害に強い地域づくり」を進めるとともに、豊かな田園都市国家を支える高速道路や新幹線など交通・物流インフラの整備を強化します
4.活力ある健康長寿社会へ~世界に誇る国民皆保険の維持~
  • 社会保障制度における縦割りの是正、民間活力の導入、デジタル技術やデータの活用による新しい予防・医療・介護・年金、地域や利用者の視点を踏まえた支えられる側から支える側を増やす徹底的な環境整備、子育て支援の充実などを通じて、活力ある健康長寿社会を実現し、持続可能な社会保障制度を構築します
5.世界を主導する外交~ソフトパワー外交~
  • 日米同盟を基軸に、G7、ファイブアイズ、インドをはじめアジアにおける志を同じくする国々と連携し、自由・民主主義・人権・法の支配等の基本的価値を守り抜く毅然とした外交・安全保障を推進するとともに、北朝鮮による拉致問題等の解決に全力を挙げます。また、科学技術、文化芸術等の日本が誇るソフトパワーを活用して国際社会における「分断から協調へ」を進めるとともに、SDGsをはじめ国際社会におけるルール形成、核軍縮・不拡散を主導します。 
6.国の骨格作り~令和時代の憲法改正~
  • 時代の変化に対応した憲法改正を、国民の理解を深めつつ、国民とともに目指すことで、新たな時代の国造りを進めます

(3)石破茂氏の政策

納得と共感。

1.ポストコロナ時代の「令和新時代の民主主義」
  • 平成22年の党綱領の原点に立って「納得と共感の政治」を実現します
  • 国民が「一緒にやろう!」と思っていただける信頼の政治をつくります
2.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦い
  • 国民に寄り添い全ての関係者を支援し感染症対策と経済対策を両立させます
  • 税負担の軽減を含む経済的支援で家計を支えるとともに機動的な財政出動で経済を支えます
3.すべての人が幸せを実感できる令和新時代の国づくり
  • 「多様性」と「危機への備え」を善、「楽しさ」を美徳とする「第三の日本」へ!
  • 自由と寛容さを高めて女性、若者、高齢者にフェアな社会を実現します
  • 東京一極集中を解消し潜在成長率の引き上げと都市・地方間格差是正を実現します
4.令和新時代のポストアベノミクスへの展開
  • デフレに後戻りしないマクロ経済政策の骨格を維持しつつ、潜在成長率の引き上げ、格差是正、AI(人工知能)の研究支援など、デジタルなどの技術革新(デジタル・ガバメントを含む)やデジタルの基盤整備、人材強化などに重点を置きます
  • まず賃金を適正化し、低所得者や子育て世代への支援で消費を喚起し、地方を第四次産業革命のはじまりの場所にして都市・地方間格差を解消します
5.人生100年時代の「シン・地方創生論」
  • 地域分散と内需主導型経済への転換を図ります(地方の自主・自尊の確立)
  • 「デジタルの通った水と緑」豊かな「スーパーローカル」を実現します
  • もうかる農林水産業を実現します(「みんなのスマート農林水産漁業」など)
  • 住んでいるだけで健康になる生きがいや喜びを生みだす街づくりを進めます
  • 21世紀中頃までに約300万人の地方移住を実現します
6.真に国民の幸福を実現する福祉社会の実現
  • ITをフル活用して安心と納得で現役世代・高齢世代が支え合い持続可能な国民本位の社会保障制度を確立します(=自助・共助・公助のベストミックス)
  • 自由度と予防・健康増進を重視する福祉と保険外併用療養の活用を推進します
  • 住み慣れた地域で在宅、施設を自由に選択可能な介護サービスを実現します
7.令和新時代の新たな社会の創生
  • 年齢にかかわらず自分の能力や個性を最大限活かせる社会を実現します
  • 教育無償化によりアンダークラスやシングルマザーなどの抱える教育格差問題を解決します
  • 10~15年ごとに ITスキルを再生する「大人の義務教育」をシステム化します
  • 女性が活躍できない仕組みを是正し女性管理職・議員比率を向上させます
  • 性暴力・性犯罪対策の抜本的強化(「ワンツー運動」)を展開します
  • 女性の立場で出産、子育て等全力で支援します(待機児童問題の解消を含む)
8.自立精神に富み安心・安全な国の構築
  • 防災省を創設し防災・減災国債で生命のインフラやシェルターを整備します
  • 「自由で開かれたインド太平洋戦略」を継承・発展させます
  • 日米同盟の実効性を高めるとともにアジア版NATOの創設を目指します
  • 東京と平壌に連絡所を開設し政府の主体的取組で拉致問題解決を目指します
  • 他党との議論、国民の理解を経て、党草案による憲法改正を目指します

候補者の政策比較

自民党総裁選:3氏の政策比較(菅義偉氏・岸田文雄氏・石破茂氏)

まとめ

自民党総裁選3氏の政策比較をしてみました。政策は同じ党なので大筋似通ったものでした。個性が反映した政策も垣間見ることができました。

一般の人は投票権がありませんので政策分析がすぐに行動に結びつかないかもしれません。長い目で見れば今後の政治行動の指針になるでしょう。

見識ある国民は政治経済を良い方向に導きます。良識ある国民が日本の本当の財産です。今後も識見を高められるよう努力してゆきたいものです。

付記:3候補に対する一言コメント(個人的見解)

  • 菅義偉氏:良くも悪くも安倍政権(首相/総裁)の継承
  • 岸田文雄氏:安倍政権のソフトな継承、ソフトな独自路線
  • 石破茂氏:安倍政権との断絶、新たな独自路線の模索(ポストアベノミクス)

追記:

(1)選挙結果

  1. 菅義偉氏🏆:377票🥇/70.6%(国会議員票288票/73.3%、地方票89票/63.1%)
  2. 岸田文雄氏:89票🥈/16.7%(国会議員票79票/20.1%、地方票10票/7.1%)
  3. 石破茂氏:68票🥉/12.7%(国会議員票26票/6.6%、地方票42票/29.8%)
自民党総裁選地方票

(2)菅首相就任から3週間:街の声/TOKYO MX

[10~30代]
-期待する:25人(71.4%)
-期待しない:10人(28.6%)
  • 携帯料金の値下げ
  • 子育て支援
  • テレワーク支援
[40代以上]
-期待する:18人(51.4%)
-期待しない:17人(48.6%)
  • コロナ対策→経済再生
  • 「忖度政治」からの脱却
  • 老後不安の解消


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