都知事選:注目候補の政策比較(小池ゆりこ氏・宇都宮けんじ氏・山本太郎氏)
はじめに
都知事選の注目候補の政策を比較してみました。党派やイデオロギーに関係なく政策からの分析です。情報源は候補者のHPです。取り上げなかった候補者の方すみません。
各候補者の政策概要
(1)小池ゆりこ氏の政策
第2波への備え:都民の命と健康を守る新型コロナウイルス感染症対策- 東京版CDC(疾病対策予防センター)の創設
- PCRほか各種検査体制の強化
- 重症・軽症患者の医療体制の整備
- 病院・医療従事者へのサポート強化
- 救急搬送体制の強化
- マスク・消毒液などの衛生資材の備蓄
- ワクチン・治療薬の開発支援強化
(1)都民を守る感染拡大防止策の更なる強化
(2)「爆速」デジタル化により東京の経済を「新しい成長」へ
(3)魅力と強さを兼ね備えたまちづくり
2.「人」が輝く東京
(1)子どもと女性が輝く東京
(2)健康・長寿で「シニア活躍」
(3)多様性を力に変える「共生社会」東京
3.「都民ファースト」の視点での行財政改革・構造改革
(1)デジタル化による都民サービス(QoS※)の向上※Quality of Service(サービスの質)
(2)賢い支出(ワイズ・スペンディング)の徹底
(3)「グレーター東京」(大東京圏)構想の推進
(2)宇都宮けんじ氏の政策
今回の都知事選で問われているもの:都民一人ひとりの生存権がかかった選挙である~都民1,400万人のいのちと暮らしを守りぬく!~[3つの緊急課題]
- 新型コロナウイルス感染症から都民の命を守る医療体制の充実と自粛・休業要請等に対する補償の徹底
- 都立・公社病院の独立行政法人化を中止するとともに、これまで以上に充実強化を図る。
- カジノ誘致計画は中止する。
- 学校給食の完全無償化~子どもの貧困をなくす。
- 東京都立大学の授業料を当面半額化し無償化をめざす~誰もが学べる東京を実現する。
- 都営住宅の新規建設、家賃補助制度・公的保証人制度の導入、原発事故避難者に対する住宅支援~住まいの貧困をなくす。
- 公契約条例の制定、非正規労働者を減らし正規労働者を増やす~働く者の貧困をなくす。
- 災害対策(防災、減災、避難者対策など)を強化する~自然災害から都民の命と財産を守る。
- 道路政策(外環道、特定整備路線、優先整備路線)を見直す~地域住民の意見に耳を傾ける。
- 羽田空港新ルート低空飛行の実施に反対する~都民の命と暮らしを守る。
- 温暖化対策(CO₂の排出削減、自然再生エネルギーの充実など)を抜本的に強化するとともに緑と都市農業を守る~地域環境、自然環境を守る。
- 女性の貧困をなくし、ジェンダー平等社会を推進する。
- 保育士・介護労働者の労働条件を改善し、認可保育園・特別養護老人ホームを充実させる~待機児童、待機高齢者をなくす。
- 義務教育の完全無償化(修学旅行や教材なども無償にする)、すべての高校の所得制限のない授業料の無償化、夜間中学・夜間定時制高校の拡充・少人数学級・インクルーシブ教育を推進する~誰もが学べる東京を実現する。
- 視覚障害者の転落防止のためのホームドアの設置、障害者差別のないバリアフリーのまちづくり~障害者の権利を守る。
- ヘイトスピーチ対策の強化、朝鮮学校への補助金支給の再開、関東大震災朝鮮人犠牲者の追悼式への都知事の参加、同性カップルのパートナーシップ制度の導入など~外国人を含む都民の人権を守る。
- 出前福祉制度を導入する~江東区兄弟餓死事件のような悲惨な事件をなくし、福祉の行きとどかない死角地帯をなくす。
- 都民が一定額の予算の使途を提案し、その提案に対する都民の投票の結果を受けて、都民の代表が予算の使途を決める「都民参加予算制度を導入する~都民参加型の都政へ転換する。
- 横田基地へのオスプレイ配備に反対する~都民の安全と暮らしを守っていく。
- 「東京都平和祈念館(仮称)」を建設し平和教育を推進する。
- 感染症対策の専門家が来年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が困難であると判断した場合は、IOC(国際オリンピック委員会)に中止を働きかけ、中止になったことで浮いた予算はコロナ禍で被害にあった都民の支援に回します。
(3)山本太郎氏の政策
[東京都8つの緊急政策]- 東京オリンピック・パラリンピック中止
- 総額15兆円で、あなたのコロナ損失を徹底的に底上げ
- 都の職員3000人増員 ロスジェネ・コロナ失業者に職を
- 低廉な家賃で利用できる住宅を確保 「住まいは権利!」を東京から
- PCR検査・隔離・入院体制を拡充 都立病院の独立行政法人化は中止
- 首都圏直下地震・大水害から都民を守る
- 障がい者のことは障がい者で決める東京
- 保育所・特養の増設 介護・保育職の処遇大幅改善
- 「横田空域」を取り戻す!
- 気候変動に対応する産業を育成し、雇用を増やし、内需を拡大させるグリーン・ニューディール政策により地域経済を活性化させます
- 弱い立場の人々の分断を避ける「みんなの居場所」をつくります
- 性的マイノリティ(LGBT)への「都パートナーシップ条例」の制定と災害時の性的マイノリティの方々の権利擁護を推進します
- DVについて
まとめ
(1)候補者の政策概観/HP
- 新型コロナが収束に向かう中でコロナ対策が論点になるか:政策作成時期と投票日のタイムラグ
- 政策志向:生活に根差したものから国政・イデオロギーを感じさせるものまで各候補者の政策幅は広い
- 「中小企業」というワードで検索すると使用しているのは山本太郎氏の2回のみ(「企業」でも同じ結果)
- 「デジタル」だと使用しているのは小池ゆりこ氏の2回、「オンライン」だと同じく小池ゆりこ氏の4回のみ
- 「無償化」だと宇都宮けんじ氏の4回、「補助金」だと同じく宇都宮けんじ氏の1回
- 「給付」だと山本太郎氏の2回
- 「女性」では小池ゆりこ氏2回・宇都宮けんじ氏1回・山本太郎氏の2回
- 「シニア」または「高齢者」では小池ゆりこ氏2回・宇都宮けんじ氏1回・山本太郎氏の3回
- 「障害者」または「障がい者」では小池ゆりこ氏1回・宇都宮けんじ氏3回・山本太郎氏の3回
- 「コロナ」では小池ゆりこ氏1回・宇都宮けんじ氏4回・山本太郎氏の6回
(2)政策/財政について
- 曖昧な政策(スローガン)→財源不要(無料):実効性も乏しい
- 具体的な政策(特に無償化政策)→財源が必要:大雑把でもいいから方向性(増税・緊縮・借金・資産売却・増収政策)の記載が重要(原資はすべて都民の税金)
(3)候補者の選定基準
- 政策の全体像:プラスマイナスの総合得点
- 個別イシュー:関心のある具体的事項の取り組み姿勢(ex.オリンピック・LGBTQ等)
- 目先のお金:減税/増税・給付金・無償化の有無
- 価値観:理想の社会像(世界観)
- 能力:いくら良い政策でも「実行力」がなければ政策は無意味(平たく言えば「夢見る少年少女」「ドリーマー」の類)
- 人柄:いくら良い政策でも実効性に「信頼」がなければ政策は無意味(平たく言えば「嘘つき」「ほら吹き」の類)
付記:3候補に対する一言コメント(個人的見解)
- 小池ゆりこ氏:現職ならではの安心感・わかりやすさ(良くも悪くも)
- 宇都宮けんじ氏:完成された世界観(好きになれるか否か)
- 山本太郎氏:未完成ならではの協働感(未知なる不安を乗り越えられるか?)
表面の1面掲載が圧倒的に有利(次に裏面の6面):
- 山本太郎氏:1面1番上◎
- 小池ゆりこ氏:1面上から2番目○
- 宇都宮けんじ氏:4面1番上△
まずは政策と人物像を有権者に届けないと選挙は始まらない(勝てない)。